2025年4月、訪問介護分野での特定技能外国人材の受入れがついに解禁されました。これまで施設介護に限定されていた特定技能「介護」の就労範囲が拡大され、訪問系サービスでも外国人材の活用が可能になっています。深刻な人手不足に悩む訪問介護事業者にとって、大きな転機となる制度改正です。

訪問介護の有効求人倍率は全産業平均の約3倍にのぼり、特に地方部では慢性的な人材不足が続いています。今回の解禁により、特定技能外国人材が訪問介護の現場で働けるようになりましたが、利用者の安全と外国人材の保護を両立するため、受入れには7つの厳格な要件が定められています。

本記事では、厚生労働省が公表した要件を一つずつ丁寧に解説します。訪問介護で特定技能人材の受入れを検討している事業者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

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介護分野の特定技能1号の在留資格を有すること

訪問介護に従事するには、まず「介護」分野の特定技能1号の在留資格を取得していることが大前提です。特定技能1号を取得するには、以下の2つの試験に合格する必要があります。

  • 介護技能評価試験:介護の基本的な知識・技術を問う試験
  • 介護日本語評価試験:介護現場で必要な日本語能力を問う試験
  • 日本語能力試験N4以上またはJFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)合格

また、技能実習2号を良好に修了した方は、試験免除で特定技能1号への移行が可能です。ただし、訪問介護に従事する場合は、この要件だけでは不十分で、以下の追加要件も満たす必要があります。

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介護職員初任者研修を修了していること

訪問介護は、施設介護とは異なり、利用者の居宅で原則1対1の介護を行うことになります。そのため、施設型サービスよりも高い専門性が求められます。

この要件では、特定技能外国人材が介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級に相当)を修了していることが求められます。初任者研修は約130時間のカリキュラムで構成され、介護の基本理念から実技まで体系的に学ぶ内容です。

ポイント:初任者研修は日本国内で受講・修了する必要があります。受入れ前に施設介護で働きながら研修を受講させるスケジュールを組むことが現実的です。

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1年以上の実務経験(訪問系サービス以外での介護業務経験)

特定技能外国人が訪問介護に従事するには、訪問系サービス以外の介護施設等で1年以上の実務経験を有していることが条件です。

具体的には、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、デイサービスなどでの介護業務経験が対象となります。この実務経験を通じて、日本の介護現場のルールやコミュニケーション方法を十分に身につけたうえで、訪問介護に移行するという段階的なステップが設計されています。

ポイント:訪問系サービス(訪問介護、訪問入浴介護等)での経験は、この1年にカウントされません。あくまで施設系サービスでの実務経験が求められます。

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受入れ機関(事業所)が訪問系サービスの指定を受けていること

外国人材を受け入れる事業所側にも要件があります。受入れ機関は、都道府県等から訪問系サービス(訪問介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等)の事業所指定を受けていることが必要です。

新規に開設したばかりの事業所ではなく、すでに訪問系サービスを運営し、一定の実績と体制を持つ事業所であることが求められます。これは、外国人材を適切にサポートできる組織体制が整っていることを担保するための要件です。

また、過去3年以内に介護保険法に基づく行政処分を受けていないことなど、事業所としてのコンプライアンスも問われます。

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サービス提供責任者等による同行支援を実施すること

訪問介護は利用者の自宅という密室性の高い環境で行われるため、サービス提供責任者等が一定期間、外国人材の訪問に同行してOJTを実施することが義務付けられています。

同行支援では、以下のような内容を指導・確認します。

  • 利用者ごとの介護計画に基づくサービス提供方法
  • 利用者やご家族とのコミュニケーション方法
  • 緊急時の対応手順(連絡体制含む)
  • 記録の書き方や報告の仕方

同行支援の期間や回数は、利用者ごとの状況や外国人材の習熟度に応じて適切に設定する必要があります。単独訪問を開始した後も、定期的なフォローアップを行うことが望ましいとされています。

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キャリアアップ計画の作成・実施

受入れ機関は、特定技能外国人材のキャリアアップに向けた計画を策定し、継続的に実施することが求められます。

具体的には、以下のような取り組みを計画に盛り込みます。

  • 介護福祉士の国家資格取得に向けた研修・学習支援
  • 日本語能力の向上のための支援(N3以上の取得を目指す等)
  • 定期的な面談によるスキル評価とフィードバック
  • 段階的な業務範囲の拡大

この要件は、外国人材を単なる労働力として消費するのではなく、長期的な戦力として育成する姿勢を求めるものです。介護福祉士の資格を取得すれば特定技能2号や在留資格「介護」への移行も可能となり、人材の定着にも直結します。

7

ハラスメント防止措置の実施

訪問介護では、利用者やそのご家族から外国人材がハラスメントを受けるリスクが、施設型と比べて高いとされています。密室環境かつ1対1という状況が、問題を深刻化させやすいためです。

そのため、受入れ機関は以下のようなハラスメント防止のための具体的な措置を講じることが義務付けられています。

  • 利用者・家族向けのハラスメント防止に関する周知・啓発
  • 外国人材が相談できる窓口の設置(母国語対応が望ましい)
  • ハラスメント発生時の対応マニュアルの整備
  • 担当利用者の変更等、迅速な対応体制の確保

外国人材が安心して働ける環境を整備することは、サービスの質の向上にもつながります。事業所全体でハラスメントを許さない文化を醸成することが重要です。

訪問介護で特定技能を受け入れるメリット

深刻な人手不足の解消

訪問介護の有効求人倍率は約15倍。採用が極めて困難な状況下で、新たな人材供給源を確保できます。

高いモチベーション

試験合格・研修修了・1年の実務経験を経た人材のため、介護への意欲と基礎スキルが高い水準です。

長期就労の可能性

介護福祉士を取得すれば在留資格「介護」に移行可能。永続的に日本で働くことができ、定着率が向上します。

安心の受入れ体制

7つの要件をクリアした体制は、結果として事業所全体のサービス品質向上にも寄与します。

受入れまでの流れ・タイムライン

訪問介護で特定技能人材を受け入れるまでの一般的な流れをご紹介します。

1

人材紹介会社への相談・求人依頼

受入れ要件の確認、求める人材像のヒアリングを行います。

目安: 1〜2週間
2

候補者の選定・面接

初任者研修修了・1年以上の施設介護経験を持つ候補者をマッチングします。

目安: 2〜4週間
3

雇用契約・在留資格変更手続き

特定技能雇用契約の締結、1号特定技能外国人支援計画の策定を行います。

目安: 1〜2ヶ月
4

キャリアアップ計画・ハラスメント防止体制の整備

訪問介護固有の要件(要件6・7)に対応する社内体制を構築します。

目安: 契約手続きと並行
5

入社・同行支援の開始

サービス提供責任者による同行訪問を開始。段階的に単独訪問へ移行します。

目安: 入社後〜

在日の特定技能人材(施設介護で1年以上の経験者)であれば、最短2〜3ヶ月での受入れが可能です。海外からの新規採用の場合は、まず施設介護で1年以上の経験を積む期間が必要となります。

まとめ

2025年4月の制度改正により、訪問介護分野でも特定技能外国人材の受入れが可能になりました。7つの要件を改めて整理すると、以下のとおりです。

  1. 1 介護分野の特定技能1号の在留資格を有すること
  2. 2 介護職員初任者研修を修了していること
  3. 3 1年以上の施設介護での実務経験があること
  4. 4 受入れ機関が訪問系サービスの事業所指定を受けていること
  5. 5 サービス提供責任者等による同行支援を実施すること
  6. 6 キャリアアップ計画を作成・実施すること
  7. 7 ハラスメント防止措置を講じること

これらの要件は一見ハードルが高く見えますが、利用者の安全と外国人材の権利保護を両立するための合理的な基準です。すでに施設介護で特定技能人材を受け入れている事業所にとっては、既存のノウハウを活かしながら訪問介護にも展開できるチャンスです。

「要件の詳細がよくわからない」「自社で対応できるか不安」という事業者の方は、特定技能に精通した人材紹介会社に相談されることをおすすめします。受入れにかかるコストの全体像も事前に把握しておくと安心です。丸忠物産では、介護分野の特定技能人材紹介に豊富な実績があり、訪問介護への受入れもワンストップでサポートいたします。

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7つの要件の確認から、候補者のご紹介、受入れ体制の構築まで、丸忠物産がワンストップでサポートします。まずはお気軽にご相談ください。

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